溺愛されました
何の根拠もなく、全員、樹荏が僅差でも勝つものとばかり思っていた。
だから、からかって諏訪の応援をしていた部分も少なからずあった。
まさか、これほどの惨敗を見せつけられるとは。
言葉をなくす一同。
咲希もズキズキした。
あんなに嫌いだと言ったのに。
負けてくれてほっとするはずなのに。
「………もう一回」
「はい?」
「もう一回!!勝負さしてくれ!!頼む!!」
「お断りします。何度しても同じこと」
静かに応える諏訪が、ものすごく冷たい人間に見え、さすがの咲希も樹荏が可哀想になった。
「…私からも、お願い」
「咲希まで、何を言い出すんです??約束は約束ですよ」