溺愛されました
「さて、何から話しましょうね」
ようやく着替えた咲希は、ひとまず遅刻をしたことを謝らなくてはと、動く一瞬先。
「申し訳ありません。この度はこちらの生徒さんにご迷惑お掛けしまして、その上遅刻という失態。非礼、面目次第もございません」
淀みなく丁寧に謝罪する関西弁に驚く。
「まあ、よろしい。今回は大目に見ましょう。今後、このようなことがないように」
「はい、心して」
校長先生とのやり取りの自然さにポカンとする。
はっ、と我に返り、
「申し訳ありませんでした!!」
はい、よろしいと頷くと、
「それでは改めて紹介します。彼は大阪から来ていただいた、入院中の守村先生の代理で、臨時コーチの」
「樹荏丞です。よろしゅう頼んます」
「え"っ!?」
「聞いてませんか??一緒に来たのに」
校長先生が驚く。
「いやだって、どなたか先生のお知り合いだとばかり。代任の先生もこんな若い人なんて思ってなかったですし」
「守村先生も、ちゃんと言ってなかったんですね…」
呆れる校長先生。赤くなる咲希。
「まあ、ええん違いますか??俺も好都合ですし」
「何がですか!?」