溺愛されました
「あんまり無茶でけへんから、暴れんとってくれるか。怪我したないやろ」
「うわ~っ!!」
後ろから来た残りの高校生が、折り畳みナイフを振り回してきた。
「…本気で怒らすな、って言うてるやん」
が、咲希が気付いて暴れた。
「うーっ!!」
「えっ!?何で今??」
「うっ」
バランスを崩して咲希が樹荏から滑り落ちる。
辛うじて後ろに回した瞬間、ナイフが樹荏の頬と咲希の背中の髪を掠め、髪が散り、頬に血が滲んだ。
「…せやから止めとけって言うたやんけ」
本気の目になった。
ガツン!!!!!
車体の屋根角がバットでめり込んだ。
「…車が…なんで」
高校生が驚いてナイフを落とし、腰を抜かして動けなくなってしまった。