溺愛されました
「まだやんのか!?」
樹荏がバットを担いで凄んだ。
「いえ!!ご、ごご、ごめんなさい!!」
「お話になりまへんなあ!!田舎のヤンチャクレが俺様に喧嘩売るなんぞ百年早いわ!!おととい来てんか」
咲希もすっかり飲まれ、涙目になる。
鳴瀬が息を切らせて追い付いた。
「お前、おっそいねん!!」
「…だって…」
ようやくパトカーのサイレンが聞こえ、気が付いた3人が連行される。
「結局、僕は咲希を守れなかったね」
咲希の口と手足のテープを剥がすと、鳴瀬が肩を落とす。
「この人には敵わない」
「そんなこと言わないでくださいよう!!この人の方が怖い」
すっかり怯えて鳴瀬にしがみつき、ついに泣き出す。
「いやいや、ソレはないわ!!なあごめんて咲希!!俺そんな怖かった??」