溺愛されました
爆弾
大通りから少し外れた一軒家。
母が移り住むのを機に、元々の古い洋館をリフォームした、比較的こぢんまりとした屋敷だった。
田舎で目立つこともあり、あまり大きな邸宅にはできなかったが、庭は広めに取った。
ガーデニングを趣味に持つ母が季節で育てている花があちこちに植えられていた。
祖父は他界し、基本、祖母と母、咲希の3人で住んでいた。
格子の門、建築家らしく間接照明も多い。
電動シャッターが開き、車が入る。
「…なんじゃこりゃ」
樹荏からはそれしか出てこない。
父が丁寧に使っているのがわかるレトロな外車もある。
「ああ咲希!!お帰りなさい!!大変だったわね!無事で何よりだわ!!」
「心配かけてごめんなさい」
母に抱きつく咲希。
連絡を受け、玄関で待っていた。ワンピースにストールを羽織ったいかにも病弱そうで、上品そうな婦人だ。
祖母も着物の似合う品の良さそうな小柄な女性だ。
「あら??そちらの方たちは??」
「同じ学校の鳴瀬先輩と」
「樹荏丞と申します。お初にお目にかかりますお義母さん」
被せ気味に。
あからさまに取り入るのが早い。