溺愛されました
「だからやめてって言ってるでしょう??この人おかしいのよ。付き合ってるわけでもないのに」
目茶苦茶だ。
話が飲み込めない両親。
「確か、部のコーチとか仰いましたね?そのお立場はどうお考えで??」
「許していただければ、卒業まで見守りたいと」
うーむ、と髭を撫で、
何とか樹荏の話に付いていこうと頭を整理する父。
「お家は、何をされてるのかな」
「大阪で、車の修理工場と板金工、あとモータープールも何個か持ってます。親父の趣味で滋賀で馬飼ってたり」
「ばんきん……??」
「モータープール??」
「板金は塗装もしてて、車の飾りつけとかイタ車の塗装とか結構好評ですね。モータープールは月極の駐車場ですわ。栗東の馬は競馬用ですね」
相変わらず淀みなく喋る口に付いていけず困惑する。
が、悪い男ではなさそうだ、と父は直感していた。
身を呈して娘を守ってくれたのも、その純粋さゆえだろう。
「いいんじゃないか?結婚は先でも付き合ってみれば」
「だから私はそんな気はないと」
「ところであの写真は何や、さっきから気になる」
聞いてないし。