溺愛されました
リビングの棚に、家族写真に並んでフレーム入りで飾られた一枚の写真があった。
咲希と鳴瀬のウェディングドレス姿だ。
「あっ、それは去年の夏に、近所の写真屋さんでイベントしてて、貸衣裳で一枚撮るっていうのにクジで当たって。たまたま一緒にいたので撮ってもらって」
鳴瀬を見て咲希が恥ずかしそうに、
「そのクジが当たったら願いが叶うってジンクスがあるらしくて」
「そうなの??そこまでは知らなかった」
樹荏もさすがにムッとし、
「上等ですやん、所詮、宣材写真でしょ。そんなジンクス俺が破ったる」
鳴瀬の肩から技を掛けるように腕を絡ませる。
「俺に勝てると思うか??」
「ぼ、僕だって、咲希のこと」
「せやから!諦めろって言うてんねん!!」
絡まれた鳴瀬の腕を取り、
「あなたが諦めてって言ってるの!!」
「な!?何してんねん!!離れろ!!」
3人で揉め始める。
鳴瀬を取り合っているようだ。
「まあまあ、仲がいいのね」
微笑む祖母。
「こんなに楽しそうな咲希を見たのも久しぶりだわ」