溺愛されました
「それはそうと、鳴瀬くん??だっけ、付き合ってるのかな??2人は」
2人が赤くなり、樹荏が間に入る。
「咲希は!!俺の嫁にするんです!!」
「なりませんてば」
「僕は鳴瀬くんの味方だけどね。それともやっぱり、僕のお嫁さんになる??」
「えっ…」
「そんなんアカン!!やめろや!!」
「こんなこと言ったら咲希が困るよね」
「ほんまにお前ら…」
言って勢いで口に含んだ小さなグラスがあった。
大人の席にあった食前酒のようだ。
「あれ!?これお酒ですか??」
「ええ、弱いシャンパンで」
言い終わる前に、樹荏の顔がみるみる赤くなった。
「す、すんません、俺、一滴も飲めへんのです…」
確かにずっと飲んでいたのは水だった。
口を押さえてふらつきながら席を立つと部屋の入り口まで行こうとした。
「だ、大丈夫??」
「……大丈夫や、たぶん、少し休めば…なはず」
辛うじてそれだけ言うと、そのまま崩れて意識を失った。