溺愛されました
――翌日早く、
父の車で付き添われ諏訪が出頭した。
樹荏と母が見送る。
「俺の大事なもん手に掛けたら、俺に喧嘩売ることなるっちゅうこと、よーく肝に銘じといてんか」
言葉もなく項垂れて車に乗り込んだ。
「…咲希のどこがお気に召したんです??」
「………電気、走ったんですわ。最初に見たとき。この子といたいって。天の邪鬼なんですね、俺」
眩しそうに空を見上げて、
「せやから、嫌って言われたら言われるほど余計、惚れ込んでもうたんです」
中に入ると、起きてきた咲希と一緒に台所に立つ母。簡単な朝食の支度をしながら、
「いい人じゃない、彼」
「誉めたらすぐ調子に乗るんだから、おだてちゃダメよ!?」
「何か手伝いましょか、押し掛けてお世話になってばっかりで」
「そう言うなら、もう帰ってくれる??」
冷たく言ってみる。
「いやいや、ソレはないわ。怒ってんのかいな」
「人の恋路を邪魔してばかりで、馬に蹴られるわよ」
「咲希は!!俺だけ見てたらええの!!」
「そういうことは、恥ずかしげもなく言うんだこの口は」
そばに来た樹荏の頬をつねってみる。
「いたい、いたいて、お前なあ」
「おはようございます、あれ?何かいい感じになってません??あれ?諏訪さんとお父さんは??」
何も知らない鳴瀬と祖母が起きてきた。