無糖バニラ
「幼なじみなんか嫌だ」
*
「……よし」
学校のトイレの鏡で自分の顔をチェック。
顔を洗っていた、水道の蛇口を止める。
目も赤く……なってるか、ちょっとは。
でも、これくらいだったらごまかせる。
あたしは思いっきり遅刻をして、教室に入ることにした。
一応、授業中は避けて休み時間まで待ったとはいえ、途中参加は気まずい気持ちになる。
「お、おはようー……」
そーっと教室を覗くと、友達と雑談をしていた仁奈が一番最初に気づいてくれた。
「このはー、どうしたの?今日休みかと思ったよ」
「う、うん、あの……、ちょっと」
他の子もいることだし、真実は仁奈とふたりきりになった時に話そう。
仁奈しか、翼と幼なじみだってこと知ってる子いないし。