無糖バニラ
「幼なじみなんか嫌だ」




「……よし」


学校のトイレの鏡で自分の顔をチェック。

顔を洗っていた、水道の蛇口を止める。

目も赤く……なってるか、ちょっとは。

でも、これくらいだったらごまかせる。

あたしは思いっきり遅刻をして、教室に入ることにした。

一応、授業中は避けて休み時間まで待ったとはいえ、途中参加は気まずい気持ちになる。


「お、おはようー……」


そーっと教室を覗くと、友達と雑談をしていた仁奈が一番最初に気づいてくれた。


「このはー、どうしたの?今日休みかと思ったよ」

「う、うん、あの……、ちょっと」


他の子もいることだし、真実は仁奈とふたりきりになった時に話そう。

仁奈しか、翼と幼なじみだってこと知ってる子いないし。
< 117 / 461 >

この作品をシェア

pagetop