無糖バニラ
相手があたしだってバレていないってことは、きっと家までついてきたりはしなかったんだ。

あたしと翼が一緒にいたことを唯一知っているのは、小嶋くんだけ。

そんな話が広まっていないってことは、小嶋くんが黙ってくれている証拠。


「……」


まだ雑談を続けている仁奈とアイリの会話をよそに、あたしはひとりで青くなっていた。


「……。……ねー、このは、トイレ付き合ってくれない?」

「え?……あ、うん!」


仁奈が、アイリに「ごめんね」と一言付け加え、あたしの手を引いて教室を出た。
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