無糖バニラ
あたしだって、7月に腕を全て覆うのは暑いけど、こんなことで翼が表情を曇らせないのなら、軽く我慢できる。


「てか、スカートでスケートすんのか」

「うん。ちゃんとタイツ持ってきてるから、スカートでもそこまで寒くないと思うよ。それに、これ制服より長いし」

「そういうことじゃなくて」

「?」


首をかしげて翼の次の言葉を待つけれど、その先は続かない。

どうでもいいけど、スカートでスケートって、ベタなダジャレみたい。

なんて、本当にどうでもいいことを考えていると、お店のドアがまた開いた。


「あら?翼、まだ出かけてなかったの?このはちゃんも今から出かけるの?偶然ね」

「あ、おはようございます」


そこから姿を現したのは、翼ママ。

エプロンをして、片手にはほうき。
玄関の掃除かな。
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