無糖バニラ
「このはちゃんは、どこに行くの?翼はスケートなんだって」

「あ……、あたしもスケート……」


翼ママが、目をパチパチ。

というか、スケートに行くところまで話しておいて、あたしも一緒だってことは話してないのか。


あたしたちを交互に見た後、翼ママは目をキラキラとさせて、翼の背中をバシッと叩いた。


「いってぇ!」

「やだ、もう!このはちゃんとデートだったの?言いなさいよ、そんな大事なこと!」


それは、大事なことなのだろうか。


「あの、デートじゃない……」


あたしが口を挟もうとしたけど、


「ごめんね、おばさん邪魔しちゃって。いいわねぇ、若いって」


フフッと口に手を当てて笑い、翼ママは誤解をしたままお店の中に戻っていった。
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