無糖バニラ
「う、うるさいな。お世辞すら言わない翼は黙っててよ」

「正直にブスって言わないだけマシだろ」

「今言った!」


あたしたちが、わあわあと言い合っていると、それを見た仁奈が声を上げて笑った。


「本当に幼なじみだったんだね。仲いいんじゃん。学校ではふたり全然喋んないんだもん。ずっとそうやってればいいのに」


学校でも話しかけていいなら、あたしだってそうしてる。

だけど。


「学校でまでこいつと喋る必要ないし」


翼は、やっぱり今日も冷たい。


「電車もう来るぞ。乗るんだろ」


そう言って、あっさりとあたしに背を向けた。
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