無糖バニラ


翼と小嶋くんと合流して、レンタルのスケート靴も選び、スケート場へ。

扉を開けると、夏だというのにすごく涼しい。

涼しいっていうか……、むしろ寒い。

タイツを履いただけの脚が、無意識に内股になる。


子供たちが黄色い声を上げながら、悠々と滑っている姿が目に飛び込んできた。

すごい。
あたしなんて、あの年齢の頃は転びっぱなしだったのに。


「やばっ、楽しそう!」


仁奈が、先陣を切って氷の上に飛び出す。

初めてだと言っていたのに、


「お、お、おー!行ける!」


少しだけよろめいた後、スーッと綺麗に前に進んでいった。

そして、あたしに向かって手招きをする。


「このはもおいでーっ!」

「う、うん!」
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