無糖バニラ
「うん、分かった。仁奈と翼は何がいい?」

「ありがと。あたしね、炭酸がいいな」

「翼は?」

「いいよ、俺が行くから」


翼が前に出ようとしたら、小嶋くんがあたしの腕をつかんだ。


「いいって、翼。休んでろよ」

「あっ……」


そして、有無を言わさずあたしの腕をつかんだまま、ずんずんと歩き出した。

小嶋くん、今翼のこと睨んだような……。

後ろを振り向くと、翼がため息をつきながら、仁奈から椅子をひとり分空けて座ったところだった。
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