無糖バニラ
あたしは、小嶋くんの言葉に目を丸くした。

そして、これ以上表情筋が変わってしまわないように、すぐに頬を両手で押さえた。


楽しそうな顔とは。

あたし、ものすごく笑ってたりしたのかな。
自覚なかった。
恥ずかしい……。


「あ……、飲み物さっさと買って戻んなきゃね。翼、女嫌いだから仁奈が気まずくなってるかも」


必要以上に早口で喋って、自販機を睨む。

プリンのはさすがにやめるべきかも。
じゃあ翼にはどれがいいかな。


自販機に真正面から向き合って、小嶋くんに背を向ける。

この場所は明るかったはずなのに、不意にフッと陰ってきた。
< 202 / 461 >

この作品をシェア

pagetop