無糖バニラ
ふたりで黙り込んで、受取口を見る。

今ので、ボタン押しちゃったんだ。

ハッとして、中身も確認せずに缶を取り出して腕に抱えた。


振り返って、だけど目は見れなくてうつむく。


「利用なんて、出来ない……。でも、ちゃんと考えるから……」


そこまで言って、耐え切れなくなってしまって、ペコッと頭を下げて、走って元の道を引き返した。

腕に抱えた、4個の缶ジュースが冷たい。


本当に分からない。

小嶋くんが、あたしをそこまで好きでいてくれる理由が。


でも、これだけは分かる。ちゃんと考えなきゃ……。
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