無糖バニラ
「……バカ」
*
「さぁー、このはちゃん?説明してもらいましょうか」
週明けの学校。
あたしは朝のホームルームが始まる前から仁奈と、誰もいない屋上に来ていた。
あたしは現在、屋上を囲む柵に背を向け、目の前の仁奈から詰め寄られている。
後ろを振り向けば、真下に校庭が見えて、足がすくみそう。
「何であの1日で小嶋くんの方と付き合うことになるわけ?あんた、どっちかって言うと芦沢くんといい感じだったじゃん」
「全然いい感じじゃないよ……」
確かにあたしも、スケートをサポートしてくれている間は、そばにいることに幸せを感じていたけど。
「てか、いい感じかどうかとかはどうでもいいんだけど」
どうでもいいんだ。
「このはは、芦沢くんが好きなんじゃないの?」