無糖バニラ
「大丈夫?なんか調子悪い?」

「ううん、そんなことないよ。朝ってそんなに得意じゃないからかな……」


妙に胸の音が騒がしいけど、笑顔で話しかけてくれたことにホッとする。


小嶋くんは苦笑して、


「ごめん、付き合ってるフリだってことは一応分かってんだけどさ、あんまり元気のない顔されると、周りに怪しまれるよ」

「えっ!」


自分では普通にしていたつもりだったのに、そんな指摘を受けて、あたしは自分の頬に手のひらを当てた。

表情筋……は、どうだろう。
さわっただけじゃ、全然分からない。

仁奈に言われたばかりのことが、まだ尾を引いているせいかな。


「ほら、翼もこっち見てる」
< 220 / 461 >

この作品をシェア

pagetop