無糖バニラ
「奪うよ」
*
全然眠れなかった……。
まぶたは重たいのに、結局完全に下りないまま朝を迎えた。
「このはー、このはー!起きてるのー?」
ママの声が、階段の下辺りから聞こえる。
「はぁい……」
力なく、きっと本人までは聞こえない返事をして、あたしはのそのそと起き上がった。
ハンガーにかけてある制服を手に取って、「あ」と声を漏らす。
そうだ。いつもみたいに長袖しか用意してないんだった。
タンスを開けて、新品の半袖ブラウスを取り出す。
……よし。