無糖バニラ
「クッキーありがとう。……あの、あたし、先行くね……」
振り返らずに、駆け出そうとしたら、
「今日は、一緒に学校行こうって言わないんだ?」
翼らしくないそのセリフに、あたしは足を止めた。
「お前、いっつも一緒に行こうってうるさいじゃん」
名前を呼んだり、こんなことを言ってみたり。
今日の翼は、いつもと違う。
それを聞くのが、もっと前ならよかったのに。
今日じゃなかったらよかったのに。
「……今日は言わない」
キスを思い出して、恥ずかしいから。気まずいから。
それも嘘じゃない。
だけど、もっと。一番の理由は。
「なんで?」
「……あたし、小嶋くんの彼女だから」
振り返らずに、駆け出そうとしたら、
「今日は、一緒に学校行こうって言わないんだ?」
翼らしくないそのセリフに、あたしは足を止めた。
「お前、いっつも一緒に行こうってうるさいじゃん」
名前を呼んだり、こんなことを言ってみたり。
今日の翼は、いつもと違う。
それを聞くのが、もっと前ならよかったのに。
今日じゃなかったらよかったのに。
「……今日は言わない」
キスを思い出して、恥ずかしいから。気まずいから。
それも嘘じゃない。
だけど、もっと。一番の理由は。
「なんで?」
「……あたし、小嶋くんの彼女だから」