無糖バニラ
あたしは真っ赤な顔で、翼を睨んだ。

やられっぱなしは悔しいから。


「……仕返ししていい?」

「どんな?」


翼の胸元の服を両手でつかんで、背伸びをする。

もう、こんなに背が高くなっていたんだ。


先に目を閉じたのが間違いだった。

触れたのは、唇の端。

……外した。


それが恥ずかしくて、あたしの顔はさらに真っ赤になるけど、翼の顔も負けないくらい赤くなっていたから、……いいってことにしておく。
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