無糖バニラ
恥ずかしすぎて、これ以上そばにいるのは限界で、あたしは急いで扉の外に逃げた。


「じゃあね!明日学校で!」


バタン!と閉まる音と、早口で喋りたてた声は、どちらが大きかっただろう。

扉を背にして廊下にいると、翼の部屋よりはいくらか涼しいように感じた。

顔が、熱すぎる……。


あたし、今日だけで何回キスされたの?


右手から順に、指折り数える。

左手に移った時点で、何だかもうたまらなくなって、両手をぎゅっと握った。

そばにいるのは限界だと思っていたのに、もっと一緒にいたいような……変な気持ち。
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