無糖バニラ


「ありがとうございました~」


家の中からお店に出ると、ちょうどお客さんを見送る翼ママの声が聞こえた。

今の人を境に、一度客足は途絶えたらしい。


「あら、翼いたの?このはちゃんも。いつ帰ってたの?」


存在を気づかれて、胸の音がドキッと過剰反応する。

て、手……が。


「さっき。またちょっと出てくるから」

「お、おじゃましてました……」


ふたりで一緒に翼ママの横を通ると、繋いだ手はすぐに気づかれた。
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