無糖バニラ
翼に家まで送ってもらって、自室に入ったあたしはすぐにベッドにうつ伏せで倒れ込んだ。
まだドキドキしてる……。
また、ここが本当に現実なのかあやしくなってきた。
こんなに体がふわふわしているのに。
今なら何でも出来そうな気になってしまうのは、翼のせい。
枕をぎゅっと胸に抱きしめて、あたしは起き上がった。
……よし。
バッグからスマホを出して、ラインアプリを開く。
表示させる名前は、“小嶋くん”。
トーク履歴は、彼の『ごめん』で止まっている。
目を閉じて深呼吸をしてから、スマホの画面を指でタップした。
『今日は勝手に帰ってごめんなさい。明日話したいことがあります。』
既読になってからしばらく経って、『分かった』と、ひと言だけ返ってきた。
明日。
そう、明日になったら……。