無糖バニラ
久しぶり。

ちゃんと隣同士で、ふたりで歩くのは。


遅いあたしの歩幅にも、何も言わずに合わせてくれる。


「今日ね、小嶋くんに話したいって言ったの。昨日は、逃げちゃったから……」

「ふーん、どこで」

「あ、決めてない」

「バーカ」


こういう物言いは、全然変わってくれていいのに。

頬をふくらませて隣を見上げるけど、横顔がすごく近くにあることに見入ってしまって、用意していた言葉を無くした。


あたし、翼の隣にいるんだ……。

それは、当たり前じゃない。
すごいことだったんだ。
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