無糖バニラ


学校に着いて、上履きに履き替えるとすぐに、担任の男の先生に出会った。


「お、ちょうど良かった。3人の内、誰かプリント運んでってくれないか?ホームルームで使うんだけど」

「俺行きます」

「助かるよ、芦沢」


名乗りを上げたのは、翼。


プリントって、どれだけあるんだろう。

重いのかな?

それなら……。


「あたしも手伝おうか?」

「いいよ、先に教室行ってろ」

「!」


にこっと笑って、翼はあたしの頭をポンッとひとつ撫でた。


「プリントってどこですか?」

「職員室の、俺の机。一緒に来てもらっていいか」

「はい」


翼と先生は、そんな会話をしながら背中を向けた。


び、びっくりした……。

人前で、頭を……。
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