無糖バニラ
エピローグ
*
あれから数日後。
今日は、夏休み3日目の登校日。
普段の授業よりも朝は遅いけど、休みの日なのに学校に行かなきゃいけないとか、やっぱり腑に落ちない。
「いってきまーす!」
ママに元気よくあいさつをして、家を出た。
あいさつはしたものの、あたしはすぐに歩き出さず、隣の家の前でじっと待つ。
「いってきます」
「はーい、いってらっしゃい。帰ったらお手伝いよろしくねーっ」
――ガチャッ、リンリーン。
ドアを開ける音と、ベルの音。
翼と翼ママのやり取りが聞こえて、あたしは笑った。
「おはよう、翼!」
「ああ」
付き合おうが、付き合うまいが、この素っ気ないあいさつを変える気はないらしい。