クールな先輩への溺愛宣言!!
でも、ここからじゃ何を話しているかわからない。


それに人壁になっていて様子を見るにも難しい。



それなのに、一歩を踏み出せない僕は本当ヘタレだと思う。



ヒーローになりたいのに、臆病で情けない僕。


先輩に釣り合わない。
もっとかっこよくなりたい。



だけど、僕には何もない。



こんな、僕じゃ先輩に釣り合わないとそんな卑屈ばかりが出てきて、足が余計に竦んでしまう。



「早く別れてよ!あんたなんて、相手にもされていない形だけの彼女のくせに!目障りなのよ」



少し離れた場所にいる僕の耳にまで聞こえてきた怒号。


うじうじしている場合じゃない。何のために僕はここに来たんだ。



こんな影から見守るためだけに来たのか?


自問自答をするもまだ、足は一歩を踏み出せない。



でも、このままじゃ先輩がもっともっと傷つくかもしれない。



それに今日の僕は何でもうまくいくんだ。躊躇ってる場合じゃない。



「あ、あの・・・もうその辺でやめませんか?」



頭の中では少女漫画のヒーローのような「これ以上、彼女を傷つけるな」なんてお決まりのセリフを放ち、彼女を庇うイメージ。


それなのに、実際は後ろから恐る恐る声を掛けることしか出来ない僕。


理想と現実はこんなにも違う。



「何、あんた?」



「・・・ぼ、僕は先輩の後輩です」
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