クールな先輩への溺愛宣言!!







「先輩!!待ってくださいよ。いきなりどうしたんですか?」



先輩がかなり早足で歩くので僕はついていくので精一杯。



「ふたつの分かれ道があったらどっちに行くのが正解だと思う?」



「どういうことですか?」



「そのままの意味よ。例えばさっきみたいに右と左に道が分かれていた時、君は迷わず左と答えた。それは何故か?普段から左に曲がってるからよ。人は慣れるとそうなってしまう。」



こんなに話す先輩は初めてかもしれない。


でも馬鹿な僕には半分も理解出来ない。


頭にはてなを浮かべている僕に気付いたのか先輩はクスッと笑った。



「要するに、慣れは怖いなって話よ。」



そういえば前に先輩、慣れてるから、って言ってたな。



「先輩のお婆ちゃんのお家こっちであってるんですか?」


「いいえ、さっきのところを右よ。」


「えっ、ダメじゃないですか。
まだ遅くないですから戻りましょう。」


「大丈夫よ。こっちからでも行けるわ。」


「でも遠回りじゃないですか。」


「たまにはいいじゃない。今日はなんだか遠回りしたい気分だったのよ。」





確かに僕も嫌なことがあった時は無意識のうちに遠回りのルートを選んでいるかもしれない。



今の時期は日も長くなってきていて7時なのにまだ明るかったりする。



だから暗くて危ないなんてことがないのは良かった。




隣を歩く先輩は笑ってるけど笑ってなくて時々悲しそうな表情をする。




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