ガーディアンズッ☆彡


慣れないことはするものじゃないというどこかの親切な神様のお告げだろうか。


いや、いい。


そんなお告げいらない!


あたしだってべつに滑りたくて滑ったわけじゃないし!


心の中で半べそをかきながら、なかばやけになって壇上に置いてあったマイクを手に取った。


そしてその悲劇は。


あろうことか再び起こったのだった。



「ん? ……っと!」



マイクを持ち上げた瞬間ぞっと背筋を走った悪寒……いや、危機感に、あたしは反射的に地面を蹴り真後ろに飛び退く。


次の瞬間、


バッシャーンッ!!


今しがたあたしが立っていた場所には、大量の水が勢いよく降り注いでいた。



「oh……」



しぶきを弾かせながら瞬く間に広がっていく大きな水たまりに、今度こそぽかんと口を開けて立ち尽くす。



「……いやほんと、なにこれ」



異常どころじゃない。


入学式の壇上で、バナナの皮ごとく落とされていたスライムを踏んづけるだけでもまさかの出来事なのに、今度はあやうく滝修行をさせられるところだった。



「……しかもタライって……」



なんちゅーアナログな。


頭上でぶらんぶらんと揺れているそれを見上げて、もうなにも言えなくなった。


普通のものよりも一回り大きいだろうタライ。


両端を糸で吊り上げられているそれは、中身を失くしてひっくり返っている。


どう見ても意図的な攻撃に腹をたてるべきか、あのタライが落ちてこなくて良かったと安堵するべきか……。


いやいや、問題はそこじゃなくて。
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