孤独少女~Kiss Me~
「昨日、そういや見たよ。3人で出掛けるとこをな……」



最後のプリントを纏めて、陸に手渡しながら呟く。

陸は「見たんか」と言いながら、プリントの山を教卓にドンと置く。



「何しに愛純は、お母さんを?」



「可愛がってくれるからやろ。親父さんは、愛李を可愛がってたしな」



「そんなんで、お母さん取るなんて最低やん。愛純にはお父さんが居るやろ?逆に私には、お母さんしか居らんねんでっ!?」



「俺に言うたかて……」



どうしようもない事はわかってる。

でも、今だけでも“そうやな”って、同調して欲しかった。



「愛李!!」



鞄を乱暴に掴み、走って教室を出る。

呼び止めようとする陸を無視し、靴を変えて外に出ると、煙草を吸ってる喜多見と遭遇してしまった。



「どないしたん」




「何でもない」



「愛李、待てって!」



「おい!おい、千葉!!」



喜多見に、話してしまいたかった。

誰かに、この気持ちを吐きたかった。

しかし、陸が追って来た為、私はまた走る。
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