孤独少女~Kiss Me~
お椀を握り、味噌汁を飲む寸前で止まった手。

最近は苦笑いしてた2人が、次第にニヤニヤとし始めた。



「何かあったら言いや?私ら、禁断の恋は得意やで?」



「同居してたら、家でイチャイチャ出来ますからね……;;」



「俺は教師であり、先輩や。頼れば良い。何でも相談してくれ」



「する日は来ないと思うわ;;」



味噌汁をわざとらしくズルズルと飲み、2人から目を背けた。

愛陽さんの温かな食事をちゃんと一人前平らげ、食器を下げてる。



「相田、呼んでやるか?(笑)」



「えーわ;;」



まだニヤニヤしてる喜多見。

逃げるようにお風呂を沸かしに行く。



「……え?」



「何した?ボーッとして」



キッチン脇にあるお風呂場。

洗面所で立ち竦む私に気付く愛陽さん。

母親のスキンケア用品が、洗面台から消えて居る。



「千葉?」



私を呼ぶ喜多見を無視して箪笥を開けっぴろげると、これまた母親の洋服や、下着までがなくなって居た。

何となしに冷蔵庫を開けると、エビピラフの入ったタッパーに貼られたメモ。

“愛李、ごめんね。ご飯だけは作りに来ます。お小遣いは、化粧台の引き出しに入ってます。戸締まりちゃんとしてね? 母より”

何で、気付かなかったんやろ……。
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