孤独少女~Kiss Me~
「夜分に申し訳ありません。愛純さんと愛陽さんの学年で主任を務めます喜多見と言います」



「愛李さんの担任の、相田です」



「どうもお世話になってます、白井です」



ドアの影に隠れる私と愛陽さんに気付かず、迷いなく“白井”と名乗った母親に、捨てられた事を痛感した。



「ちょっと、お話ししませんか?皆さんで」



「……愛李……」



逃げようとした私の腕を掴んだ愛陽さんは、母親を睨みながら、リビングからこちらを覗く愛純の父親に問う。



「あ、先生たち!揃いも揃ってこんばんは!そんなとこで立ち話せんとどうぞ?愛李も入ればえーやん!一度は家族やったんやから」



「…………」



「何やクソガキ。てめぇが仕組んだんやろ。ここで叫いてやろうか」



「お上がり下さい。お願いですから……」



「いや、上がる気なくなったんで、ここで話ししましょう」



タイミングを見計らったように出て来た愛純。

私を背中に隠しながら、愛陽さんがキレた。

母親の願いを拒否し、喜多見にドアを掴ませる。

閉める事が出来ないように。
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