孤独少女~Kiss Me~
「何や楽しそうな家ですねー」



「えぇ、楽しいですよ?パパとママと3人での食事は!」



「片腹痛ぇーわ!くだらねぇ」



「は?だいたい、貴方、誰ですか!」



「喜多見の嫁や」



「へぇー!喜多見先生の奥さんて、ヤンキーみたいな人やね?」



「せやったら何やねん。てめぇに迷惑掛けたんか。人を傷付ける真似しか出来へんくせに、しゃしゃんなや。私はあんたのクソ親父と、愛李の母親と話に来たんや」



「……人の家族を悪く言わないでくれますか?」



「あぁ、気に障った?“クソ親父”って言葉。そりゃあ悪かったね。訂正するわ。子離れ出来ないクソ親父って」



「はあ゛!?」



愛純に主導権を握らせず、話をする愛陽さん。

一言だけで終わらない姿に、喜多見が苦笑いをしながら、事の成り行きを見守ってる。

最初の自己紹介は必要なかったと思うほどだ。



「愛李のお母さん」



「はい……」



「貴方、お腹を痛めた子やなくて、何でしょーもない他人の子を選んだん?」



「それは……」



「寄って来るからやろ。他人でも、“お母さん”て寄って来て、嬉しかったんちゃいますか?」



愛純を無視し、母親と向き合う愛陽さん。

愛純を見る目とは違い、子を持つ母親の目で。
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