孤独少女~Kiss Me~
「今日、主人と相田先生が伺った理由は、愛李の今後やお母さんの気持ちを聞く為でしょう」



「…………」



「でも、私ははっきり気持ちを伝えに来ました。そして、それを伝える気持ちが、ここに来てより固まりました」



「何でしょうか……」



「愛李は私が育てます!私、もともと子を捨てるような親が嫌いなんですよ」



「捨てたわけじゃ……っ!」



「同じやろ!あんたは娘を捨てた!話し合って愛李を貴方の元に帰しても、この子の心に出来た傷は痕となって残るんやで?そんなんで、“家族としてやり直しましょう”なんて、私は愛李に聞かせたくないわ!そんなん言うんやったら、最初からこんな真似はせーへんやろ?せやから、愛李は私たちで育てる。愛李の家族になる。あんたに出来るんは、謝り続ける事だけや!!」



「……っ……」



「愛陽さん……っ」



「じゃっ、私はこれで。あ、最後にえーか?」



「何や……」



「愛李から幼なじみと母親を奪ったんや。もうこれ以上の事はさせへんからな」



「……どうやろな」



最後まで態度を崩さなかった愛李に、愛陽さんは何も言わずエレベーターのスイッチを押しに行く。

2人で先に1階へと降り、車の前で喜多見と相田を待つ。
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