孤独少女~Kiss Me~
陸の自分勝手な気持ちには、私も怒りを覚える。

梢を止めた喜多見は、「相手の気持ちを尊重したのか」と訊く。



「愛李は、俺に気持ちがあるもんやと思ってた。まぁ、最近は違うような気もしたけど、逃げるとは思わんかった」



「……逃げるに決まってんじゃん」



「何でや!愛李は俺と愛純が付き合っても、引っ付いては来たやろ!?」



「そんなんとキスは違うやろ……っ!!」



ようやく口を開いた私に、陸は食って掛かって来た。

止まってた筈の涙がまた溢れる。

しかし、堪えながら負けじと反論。



「私は……。私は……っ」



これを言ったら、ややこしくなる。

いや、気付かなかった気持ちに今になって気付いた。

ただ、気を紛らわすだけだった筈。

寂しさを忘れる為だった筈。

それ以前に、好きより嫌いだったんやで……?



「……キスもその先も、好きな人としかしない。いくら陸が諦めるからと言おうと、彼女が私の知ってる人と付き合ってる時点で、キスなんか出来へん……っ……」



溢れ落ちた涙を隠すように、手で顔を覆う。

そんな私の頭を撫でたのは、間違いなく相田。

嫌でもわかる。

好きやもん……。
< 54 / 79 >

この作品をシェア

pagetop