孤独少女~Kiss Me~
“未遂でしたが、今後、福山に暴力行為をしないと約束します。”



「これ、反省文なん?;;」



「そうや。慣れてるやろ!」



覗き込んだ反省文に呆れてるも、梢はドヤ顔で喜多見に差し出した。



「はい。まぁえーわ」



喜多見は赤ペンを持ち出し、福山の文字に二本線を引き、“校内で”と書き換えた。



「じゃ、私は教室に戻るから。愛李は顔洗ってから戻って来な」


特に気にしてない様子の梢は、立ち上がりながらそう言って指導室を出て行く。

私も喜多見と相田に頭を下げて、近くにある手洗い場へと行く。

図書室や音楽室などが入るこの校舎には、始業前で誰も居ない。

水で目を洗い、タイル張りの縁に座ってハンカチで拭ってると、隣に相田が座った。

お互いに無言で、ただ前を見据える。

でも、何を言いに来たのか察しが付いてる。



「今すぐ、キスしない何て言えない。でも、困らせるつもりもない」



「何が」



「私が“キスは好き人としかしない”って言って、嫌やったやろ……?」



「別に。俺もそうやし。何の気持ちもなしに、遊びで生徒に手を出すほど、落ちぶれた人間とちゃうわ。それに興味のない女と遊べる器用さも持ち合わせてない」



…何やって……?
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