孤独少女~Kiss Me~
この話は、翔希のお兄さん談。

やのに、説得力はあった。



「大切にされてるで?愛されてる実感もしてる。けどな?翔希って滅多に笑わへんのに、笑ってた。ずっと、お兄さんの彼女に笑ってたんや」



結婚の挨拶に行った日。

入籍報告をした日。

ウェディング写真を撮った日。

全てに翔希の初恋の人、美雨-ミウ-さんは居た。

気にしないようにはしてた。

なのに、そんな私を見る事なく翔希は笑ってた。

結婚してくれる。

ちゃんと入籍した。

写真を撮った。

だからこそ、平気な顔して来れた。

その裏で、お兄さんの話だけが、私の心を揺さぶるけど……。



「私の陸に対して想ってた気持ちとは比べ物にならへん位、想うてたんやろうな。まぁ、簡単には譲りませんけど(笑)」



私はしんみりしないよう、笑いながらビールの空き缶を袋に入れて、空いたお皿を隅に寄せる。



「何で笑うん」



「え?泣いても、人の心はどうにもなりませんから」



そんな私に、愛陽さんが拗ねたような態度で訊いて来た。

愛陽さんの様子に驚きながら答えると、喜多見は苦笑いで愛陽さんを宥める。
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