プリズム!
実は昨夜、長瀬から珍しく電話があったのだ。

たまにメールが来ることはあるけど、電話してくるなんて珍しくて、

「急にどうしたの?何かあったのか?」

何か言いにくそうにしているので、相談事でもあるのかと聞き返した時だった。

『あのさ、こないだ電車で会った、愛美ちゃんのことなんだけど…。あの子、彼氏とかっているのかな…?夏樹ちゃん、何か聞いてたりしない?』

「へ?いや…今はいないみたいだけど…?」

『マジでっ!?』

「え…う、ん…。多分だけど…」

様子を見てる限りでは、多分いない筈だ。

そう言うと、一定時間無言の後、『はぁーーーっ』という長い溜息が聞こえてきた。

『実は…俺さ、何か…愛美ちゃんのこと好きになっちゃったみたいなんだっ。こういう気持ちになったの、ホントに初めてでさ…。何て言うか…。あああ…どうしようっ!夏樹ちゃーん、協力してぇーっ!!』

「お前、ウザッ!」

後半は少し照れが入ったのか、おちゃらけて言っていたけど、どうやら本気らしい。

とりあえず、色々話をして長瀬が真剣な気持ちなのは分かったし、出来る限りは協力すると約束をして電話を切ったのだった。


(でも、愛美のこの反応は…かなり脈ありなんじゃ…)


真っ赤になりながらも、クッキーをかじっているその横顔を見つめる。

二人の友人としては、お互いに惹かれあっているなら、その二人が仲良くなるのは、これ以上に嬉しいことはないと思う。

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