プリズム!
(でも、この後どうしよう…)


結局、最終的にひとりぼっちになってしまった夏樹は、中庭のベンチで途方に暮れた。

二人を送り出すことに強がりがなかったと言えば、嘘になる。

雅耶からの連絡は来る様子もないし、この場所にひとり取り残されるのは正直気が重かった。

周囲に沢山の一般客がいるものの、流石に一人でいるのは目立つのだ。


(…場所、移動しようかな…)


でも席を立ったとして、次に何処へ行っていいか分からない。

何処へ行っても状況は変わらない気がした。

思わず、小さく溜息を吐いた時。


「…夏樹…?」


不意に聞き覚えのある声で名前を呼ばれ、夏樹は驚いたように声のした方向を振り返った。

そこには、よく見知った人物が、やはり驚きの表情で(たたず)んで、こちらを見ていた。


「…ちから…」


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