プリズム!
周囲を取り囲まれてしまった夏樹は、冷静に状況を確認していた。

制服を着た男の校章の色を見る限りでは、彼らは二年生のようだった。

(この学校の二年生って、こんなのばっかりなのか…?)

以前、何度か対峙した三人組を思い出す。

(でも、あの時は雅耶が助けに入ってくれて…。あいつらは雅耶が上手く追い払ってくれたんだよな…)

ピンチの時に目の前に現れた、その広く(たくま)しい背中を思い出して、また胸がズキリ…と痛んだ。


先程から不躾な視線でニヤニヤと眺めてくる目の前の男が、ゆっくりと口を開く。

「あんたさ、双子の兄弟いるだろ?流石にそんなにそっくりで、ただの兄弟ってことはないよな?」

「………」

「そんな怖い顔するなよ。別に俺達は、あんたを取って食おうってんじゃねェんだからさ…」

そこまで言うと、後ろにいた別の男が茶化して口を挟んできた。

「まぁ、取って食うのも大歓迎なんだけどねぇー。それは後々のお楽しみってことで♪」

「お前、それやべぇだろッ!」

そこで皆の笑いが起こる。


下衆(ゲス)がッ…)


それでも下手に挑発して事を大きくしたくないので、夏樹は静かに言った。

「私には関係ありません。そこをどいてくれませんか?」

すると、目の前の男は、無理矢理夏樹の顎を掴んで上向かせると、顔を近付けて嫌な笑みを浮かべた。

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