プリズム!
赤いチェック柄のミニスカート。

可愛らしいリボン。


それを夏樹が着ているのを思わず想像して頬を染めた。

(あれを明日から着るっていうのかっ!?…可愛すぎだろッ!)

成蘭の男の制服姿でさえ、校内の男共の中で可愛いと評判だった夏樹が、あんないかにも女の子な制服を身に(まと)うなんて…。

そんな姿を今後見れることになるのは嬉しい気もしたが、その反面…他の男達も放っておかないだろうと考えて、何だか今から心配になってしまう雅耶だった。


何故か動きを止めてしまっている雅耶を不思議そうに見上げていた夏樹は、ゆっくりその視線の先を辿ると慌てふためいた。

「あっ…、もしかして制服…?」

(雅耶もオレになんかに似合わないって思ってるのかも…?)

妙な気恥ずかしさが夏樹を襲う。


だが、そんな夏樹の様子に気付いた雅耶は、敢えて制服のデザインのことには触れずに自然に話を振った。

「…いよいよ明日からあれを着て学校に行くんだな…。緊張してるか?」

「えっ…あ、いや…。まぁ、なるようになれって感じかな…。心の準備は出来てるよ」

「そっか…」

雅耶は優しく微笑むと「頑張れな…」と、夏樹の頭の上に掌をポンッと乗せた。

「…うん」

夏樹は素直に頷くと、照れくさそうに笑った。
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