プリズム!
激しく動けば、その分フワフワと(めく)れ上がる(すそ)が気になり、それこそ思い切り相手を蹴り上げることなど、もってのほかだった。

そんな風にいつも通りの攻撃が出来ず、動きを制限されてしまったことで、普段よりも苦戦を強いられてしまったのは事実だった。

(…それで怪我してるとか、馬鹿じゃないのか…)

思わず自嘲気味になる。


夏樹は肩から斜め掛けにしていた小さなバッグの中から、ある物をそっと取り出した。

「………」

それは、雅耶からお土産に貰ったあのマスコットだった。

新しい環境で充実した学校生活が送れる為の『お守り』だと、以前雅耶がくれた物。

最初は学校の鞄に付けていたのだが、落としてしまいそうで不安になって外に付けるのは止めていた。

だが、いつでも鞄の中に入れて持ち歩いているのだ。


夏樹は、その小さなマスコットを両手にそっと包み込んだ。

これを貰った時、とても嬉しかったのを思い出す。


『それを俺だと思って持っててくれると嬉しいな』

そう言って照れた笑顔を見せていた雅耶…。



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