プリズム!
兄の冬樹は、元気に頑張っている。
八年前…あんな事故に遭い、苦しみ怖い思いをしても。
力の父親である神岡の、その陰湿な犯罪の全容を把握していても挫けることなく、全く違う環境下で己を鍛え、その悪に終止符を打つ為に好機を窺っていたのだという。
そして、自らの手でそれを実現させた。
そうして今も尚、自分の夢を実現させるために日々努力を重ねているというのに…。
それなのに自分はどうだ…?
八年前から、ただ悲観的な日々しか過ごして来なかった自分。
事件が解決した今も未だに前へ進めないでいる。
それだけでも情けないのに…。
こんな…。
ただ…泣くことしか出来ないなんて…。
その時。
不意に膝の上に乗せているバッグから小さな振動を感じて、夏樹は我に返った。
「……っ…」
慌てて零れる涙を手の甲で軽く拭うと、バッグの中から携帯電話を取り出した。
手の中の携帯は、小さな振動と共に着信を知らせるランプが光っている。
(…まさや…)
画面には『雅耶携帯』と表示されていた。
良く見ると着信履歴の数が半端ない。
(何度も電話くれてたんだ…。気付かなかった…)
それにメールも何通か届いているようだった。
八年前…あんな事故に遭い、苦しみ怖い思いをしても。
力の父親である神岡の、その陰湿な犯罪の全容を把握していても挫けることなく、全く違う環境下で己を鍛え、その悪に終止符を打つ為に好機を窺っていたのだという。
そして、自らの手でそれを実現させた。
そうして今も尚、自分の夢を実現させるために日々努力を重ねているというのに…。
それなのに自分はどうだ…?
八年前から、ただ悲観的な日々しか過ごして来なかった自分。
事件が解決した今も未だに前へ進めないでいる。
それだけでも情けないのに…。
こんな…。
ただ…泣くことしか出来ないなんて…。
その時。
不意に膝の上に乗せているバッグから小さな振動を感じて、夏樹は我に返った。
「……っ…」
慌てて零れる涙を手の甲で軽く拭うと、バッグの中から携帯電話を取り出した。
手の中の携帯は、小さな振動と共に着信を知らせるランプが光っている。
(…まさや…)
画面には『雅耶携帯』と表示されていた。
良く見ると着信履歴の数が半端ない。
(何度も電話くれてたんだ…。気付かなかった…)
それにメールも何通か届いているようだった。