プリズム!
そうして、ゆっくりと不安げにこちらを見上げてくるその濡れた大きな瞳を雅耶は眩しげに目を細めて見つめると、ゆっくりと口を開いた。

「俺が、どれだけ夏樹のことを好きか…夏樹は分かってない」

「………」

夏樹はただ、瞳を大きくしている。

「俺達は、物心ついた時から兄妹のように過ごして来たよな?夏樹は俺にとって初めて出来た女の子の友達で、一番身近な…特別な女の子だった。自分でも、いつから…なんて分からない位、気付いたら好きになってた…」

その眩しい笑顔が、大好きだった。

「でも…八年前、あの事故があって…。永遠にお前を失ったと知った時、俺は凄くショックで暫く立ち直れなかった。すぐには信じられなかったし、諦めきれなかった。ずっと…お前が帰って来るのを待ってたんだ」

願っていれば必ず戻って来ると、信じていた。

「でも、どんどん時は過ぎていって…。もう、諦めなきゃいけないのかもって思い掛けていたんだ。そんな簡単なモノじゃなかったけどな…。でも、そんな時…。お前が現れた」

今とはまた少し違う、傷付いた様な冷たい瞳で。

「その時、お前は『冬樹』だったけど、でも…俺の中では夏樹の姿とダブっていて…気付いたら、お前ばっかり見てたんだ。そして『冬樹』が実は夏樹だったんだと知った時…。俺がどれ程嬉しかったか…。お前に分かるか?」

「……っ…」
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