プリズム!
「良いんじゃないかしら。たまには内に秘めたものも吐き出さないと身体にも良くないのよ。貴方(あなた)は我慢しすぎる所があるから…」

「そう…?かな。別にそんなことはないと思う、けど…」

「うーんと()(まま)言って甘えて、何でも雅耶に聞いて貰ったら良いと思うわよ?その方がきっと、あの子だって喜ぶハズだと思うな」

「…ワガママ…」

「そう。男の子は好きな女の子に頼られると嬉しくて、頑張れちゃうものよ。だって、さっきの顔見た?この教室に入って来た時の雅耶の顔。それはもう、すっごく嬉しそうだったんだから♪」

清香先生は雅耶のお姉さん的存在の人なので、雅耶のことに関しては若干面白がってる感が見て取れるのだけれど。

「雅耶は、きっと見せつけたかったんだと思うな」

「見せつけ…?…誰に…?」

「勿論皆に、よ。夏樹ちゃんは自分のものなんだって誇示(こじ)したかったのね。それこそが雅耶の独占欲なんだと思うわ。好きな人を独占したいと思うのは、当たり前のこと…自然なことなの。全然恥ずかしいことではないのよ」

そう言って優しく笑ってくれた。


捻って痛めた足は、思っていたよりもかなり腫れていて。

結局、その後は保健室から出られずにいたのだが、雅耶を通じて事情を聞いたらしい愛美と長瀬が後から顔を出してくれた。

二人には余計な心配を掛けてしまったようで申し訳ない思いで一杯だったけれど、何より二人の仲がすごく良いカンジになっていて安心した。

そうして、帰りは例によって清香先生の車で家まで送って貰ったのだった。

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