プリズム!
冬樹は部屋へと一歩入った所で足を止めると、室内を眺めた。
洋室一間のアパート。広さは六畳位だろうか。
家具はベッドと本棚、そして小さなカラーボックスがあるのみで、余計な物のないシンプルな部屋だった。
例え兄妹と言えども、年頃の女の子の部屋に上がること自体初めてだった冬樹は、内心では少しだけ緊張していたのだけれど。
その、あまりにも女の子らしさの欠片もない、本当に飾り気のない部屋に一瞬目を丸くした。
(でも、そうか…。そうだよね。ついこの前までなっちゃんは男として生活してきたから…)
そこに今までの夏樹の苦労を垣間見たような気がして、冬樹は何だか切なくなった。
そして部屋の中央には、折り畳み式の小さなテーブルが一つ置いてあった。
(…ここで一人で食事して…。勉強もここでしてるのかな?)
そんな彼女の姿を想像して、再び心を痛める。
「ふゆちゃん…?」
呆然と立ち尽くしているのを不思議に思ったらしい夏樹に声を掛けられ、
「ああ、ごめんね。一応女の子の部屋だし入るの緊張して…」
そう笑いながら振り返ると。
だが、夏樹はきょとんとした表情を見せた。
洋室一間のアパート。広さは六畳位だろうか。
家具はベッドと本棚、そして小さなカラーボックスがあるのみで、余計な物のないシンプルな部屋だった。
例え兄妹と言えども、年頃の女の子の部屋に上がること自体初めてだった冬樹は、内心では少しだけ緊張していたのだけれど。
その、あまりにも女の子らしさの欠片もない、本当に飾り気のない部屋に一瞬目を丸くした。
(でも、そうか…。そうだよね。ついこの前までなっちゃんは男として生活してきたから…)
そこに今までの夏樹の苦労を垣間見たような気がして、冬樹は何だか切なくなった。
そして部屋の中央には、折り畳み式の小さなテーブルが一つ置いてあった。
(…ここで一人で食事して…。勉強もここでしてるのかな?)
そんな彼女の姿を想像して、再び心を痛める。
「ふゆちゃん…?」
呆然と立ち尽くしているのを不思議に思ったらしい夏樹に声を掛けられ、
「ああ、ごめんね。一応女の子の部屋だし入るの緊張して…」
そう笑いながら振り返ると。
だが、夏樹はきょとんとした表情を見せた。