プリズム!
「そうかな?まぁ…大丈夫だよ。今日はバイトも入ってないし…」

「あのね…。バイトないなら余計に寝てられるでしょう?本当に高めだよ?とりあえず熱計ってみてよ。…体温計はどこ?」

冬樹は立ち上がると、救急箱等がないか探す。

だが、それらしきものは見当たらなかった。

(独り暮らしで救急箱も何も…普通はないか?)

とりあえず、本人に聞いた方が早い。

「ね、なっちゃん?体温計はどこにあるの?」

夏樹を振り返ると、座ったまま、きょとんと見上げている。

「…体温計?」

「うん」

「…そんなのナイけど?」

「………」

「……?」



その数分後には、夏樹は冬樹に強引にベッドへと押し込められてしまっていた。

「これ位全然平気なのに…。ふゆちゃん、心配性だ…」

未だに不服そうに。まるで子どものように軽く口を(とが)らせている夏樹に、冬樹は苦笑した。

「なっちゃんが気にしなさ過ぎなんだよ。具合悪いの分かったら放って置ける訳ないでしょう?ちゃんと寝てなきゃ駄目」

体温計がない以上はハッキリとは判らないけれど、かなり高い筈だ。38度は超えているかも知れない。

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